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縦割り保育(1)
縦割り保育でぶつかる壁と育つもの
めぐみの縦割り保育の歴史は長く50年以上続いています。3・4・5才児が1クラスで一緒に過ごす縦割り保育は担任一人では大変な場面も出てきます。そんなときは年長(青帽子)が小さな先生として自分たちよりも年下の子を手伝ってくれます。自分たちの妹・弟のように気に掛けてくれたり、やさしく声をかけたり、園やみんなのルールを教えてくれるのは、実は保育者が伝えるよりも子どもたち同士のほうがスムーズだったりします。入園してからずっと隣にいてくれるお兄ちゃん、お姉ちゃんはあこがれの存在で、あんな風になりたいと年長(青帽子)になることを心待ちにしています。
しかし、自分たちが実際に年長(青帽子)になり、年少(赤帽子)の手伝いをお願いされると難しさも感じるようです。年長(青帽子)になって嬉しくて張り切りすぎてしまったり、お節介なくらい手伝いたい気持ちが出てきたりします。手を繋いで部屋を移動したり、着替えを手伝ってあげたりと色々な場面で張り切ってくれる年長(青帽子)の姿と、まだ園生活に慣れていない年少(赤帽子)は、手を握るのさえ恥ずかしかったり、嫌だったり、自分でやりたい気持ち、とがぶつかります。これは年長(青帽子)になって張り切るとまず始めにぶつかる「相手の思い・気持ち」という壁です。でもそこで相手の気持ちの大事さに気づきます。自分の思い通りにならない歯がゆさなど、年長(青帽子)なりに相手の思いを感じてくれています。
保育者はそんな優しさや相手を思う気持ちが育っていることも一緒に喜びながら、相手の気持ちに気付いていけるように手伝ってくれたことへの感謝を伝え、今は自分でやってみたいのかもと年少(赤帽子)の子どもの心を代弁します。年少(赤帽子)が園生活に慣れてくると共に、「これ使いたいの?」「ぼくがやってあげようか?」と相手の気持ちを聞いて行動してくれる姿が見られるようになります。
(事例)1歳児の押し車を押す年中(黄帽子)の育ち
同じ園庭で0歳~6歳までの子どもたちが一緒に過ごしています。一緒に過ごすことで、自分の妹、弟でない子の手を引いていたり、近くにそっといてくれたり、同じところに視線を向けて寄り添ってくれる姿が見られます。何してるんだろう?何がしたいのかな?と考えて相手の表情を見ながら「これに乗りたいの?」と声を掛けてみると、頷いてくれた。押し車の持ち手を支えながら1歳児が自分で乗ろうとする様子をそっと見守ってくれている姿があります。その子が押し車に乗り込めると、様子や表情を見ながらそっと後ろから押してくれていました。思い切り押したら怖くないかな?急に立ち上がって落ちないかな?そんなことを思っていたのかもしれません。押しているときの表情は真剣で嬉しいと言うよりも緊張している表情をしていました。これまでは小さい子たちを気にする姿はみられず、自分のことでいっぱいだったのが、少しずつ周りの子たちに目が向くようになっています。保護者にそんな姿があったとお知らせしました。「こんなこともできるんですね。家では一人っ子でそんな様子は見ることができないので嬉しいです。」と成長を保護者と共有し、優しさが育っていること共に喜ぶことができました。縦割り保育だからこそ見られる優しさと成長だと思います。